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「大きな政府こそが時代の流れ」まとめ

「大きな政府こそが時代の流れ」について、簡単にまとめ。

①日本が公務員数や税制の面で「小さな政府」でいられたのは、企業福祉と公共事業政策、そして赤字国債の発行によるところが大きい。これらの政策が限界を迎えているのだとすれば、社会保障は税金を主な財源として公的な機関が積極的に担っていくしかない。

②NPOやボランディア団体などの非営利民間組織は、少なくとも日本では非常に力が弱く、結局のところ行政による財政上・運営上の支援が必要となる。そしてNPOの力量を高めていくことは必要であるにしても、そうした組織にアクセスすらできない、決して例外的とは言えない社会的弱者を包摂することは困難であり、それは最終的には国家の役割となる。

③官僚政治と「大きな政府」とは基本的に次元の異なる問題であり、官僚政治批判から「小さな政府」を導き出すことは論理的に不可能である。

④そもそも日本の世論が、アメリカのように反福祉・競争原理という意味での「小さな政府」を、ほとんど望んでいない。世論が「小さな政府」を結果的に支持しているように見えるのは、官僚や族議員による「税金の無駄遣い」を減らして福祉を充実すべきだというものに過ぎず、潜在的には「大きな政府」への(さらに言えばパターナリズムへの)志向性がある。世論が望んでいない道に無理に進むべきではない、というか不可能である。

とにかく、「小さな政府は時代の流れ」などというのは、真っ赤な嘘だと断言しておきたい。ところが、政府に依存しなくても生活が成り立つ富裕層と、公務員などの「既得権層」に対するルサンチマンを募らせている「没落する中間層」(団塊世代だけではなくその子供の世代も含む)が、結果的に「小さな政府」への世論を形成してしまっている。一般世論は仕方がないにしても、知識人までがそんな世論に乗っかるようでは困ると思う。

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コメント

おおむね賛成です。
が、日本人の意識・考え方についての見解は、少し違うように思われます。

ある意識調査によれば、貧困者を国が支援することについて否定的な人の割合は、調査対象となった国の中で日本がトップでした。あのアメリカよりも上でした。
アメリカは貧困者に冷たい国だと思われていますが、実は、貧困者やホームレスに対して温和に許容している人がわりと多く、NPOなどの支援活動も盛んであり、最底辺の支援については、日本よりも手厚いと言えるでしょう。
日本はアメリカより温かい国のように見えますが、貧困者・ホームレスに対する蔑視や突き放しの意識が強い人がかなり多く、貧困者に対してはアメリカ人よりも日本人の方が厳しい(人の割合が多い)と言えるでしょう。
日本の厳しい自己責任論は、新自由主義というより、日本独特の労働観・思想の産物だと思われます。

とはいえ、北欧型の社会を望む人も6割くらいはいるようですので、日本には潜在的に「大きな政府」を選好する国民が多いということは間違いないと思われます。

投稿: わさび | 2009年8月 6日 (木) 13時52分

ありがとうございます。コメントの応答は不定期になりますが、ご勘弁ねがえればと思います。

確かに貧困者に厳しい・冷たいというのはその通りで、日本で相対的に支持されている「大きな政府」というのは(http://www.global-g.jp/report200602/2-2.pdf)
貧困者への再配分というよりは、一生懸命を働いている人を優しく見守るみたいな母性的なイメージなんでしょうか。日本人論を持ち込むと簡単に説明できてしまう気もするんですが、そうではない形の理解を模索中という感じです。

投稿: にょしん | 2009年8月 6日 (木) 16時26分

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